2011年08月20日

[読書]マンキュー経済学T ミクロ編

 マンキュー経済学T ミクロ編 by N.グレゴリー マンキュー.
 難易度:初級
 オススメ度:★★★★★

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編

  • 作者: N.グレゴリー マンキュー
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2005/09
  • メディア: 単行本




[追記(2013/3/15)]
第3版が出ています。

  マンキュー経済学I ミクロ編(第3版) [単行本] / グレゴリー・マンキュー (著); 足立 英之, 石川 城太, 小川 英治, 地主 敏樹, 中馬 宏之, 柳川 隆 (翻訳); 東洋経済新報社 (刊)

 またまた経済学本です。この本のような入門書レベルの経済学本を読んでいるとき、数式と言えるレベルの式は殆ど出てこないので、いつも読み物的感覚で読んでいます。なので、難しいとかいう感覚は一切なくて、小説を読むが如く「この次、何があるんだろう」といった感覚です。小説的な感覚を更に前に押し出した経済学本は、『クルーグマン ミクロ経済学』や『クルーグマンマクロ経済学』です。クルーグマン本の紹介も、「アカデミックエンターテインメント」とあります。まだ、そちらの本は読んでないので、詳細については書けませんが、経済学の入門書は、そういう本が多いみたいです。逆に、「それでいいの?経済学って?」と思ってしまいますが、独りで勉強する分にはその方が楽チンなので、ある意味重宝しています。

 前回に引き続きマンキュー本ですが、今回は更に入門書になります。この本の姉妹本で、『マンキュー経済学〈2〉マクロ編』があり、2冊でミクロとマクロの対になっています。別にどっちから読み始めても支障はありませんが、とりあえず数字のTが書いてあったので、先にこちらを読み始めました。訳書なので、日本人が書いた本と違い、この本だけで700ページ近くあります。なので、私の場合読むだけで2ヶ月近くかかりました。途中で心が折れなければ、経済学の知識がなくても、読み通すことは出来ます。逆にもっと気合を入れれば、1ヶ月くらいで読み終えることも出来ると思います。あと、そこそこある辞典くらい重いので、持ち歩いて何処かで読もうなんて発想はやめておいた方がいいです。肩が疲れるだけです。

 本の目次ですが、7部構成の全22章からなります。
  第1部 イントロダクション
   第1章 経済学の十大原理
   第2章 経済学者らしく考える
   第3章 相互依存と公益(貿易)からの利益
  第2部 需要と供給1:市場はどのように機能するか
   第4章 市場における需要と供給の作用
   第5章 弾力性とその応用
   第6章 需要、供給、および政府の政策
  第3部 需要と供給2:市場と厚生
   第7章 消費者、生産者、市場の効率性
   第8章 応用: 課税の費用
   第9章 応用: 国際貿易
  第4部 公共部門の経済学
   第10章 外部性
   第11章 公共財と共有資源
   第12章 税制の設計
  第5部 企業行動と産業組織
   第13章 生産の費用
   第14章 競争市場における企業
   第15章 独占
   第16章 寡占
   第17章 独占的競争
  第6部 労働市場の経済学
   第18章 生産要素市場
   第19章 勤労所得と差別
   第20章 所得不平等と貧困
  第7部 より進んだ話題
   第21章 消費者選択の理論
   第22章 ミクロ経済学のフロンティア

 この本の大きな特徴は、第1章の経済学の十大原理です。経済学の考えは、10個の原理に従って展開されると明示しています。この考え方は、このミクロ経済学だけでなく、姉妹書のマクロ経済学でも受け継がれます。このようにバシッと、原理が書いてある本をみたことが無かったので、非常に判りやすかったです。途中、この10原理は各所で引用されます。この原理さえ理解していれば、細かい結果を覚える必要もなくて、自分で考えて同じ結論を出せると思います。
 第1原理 人々はトレードオフ(相反する関係)に直面している
 第2原理 あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である
 第3原理 合理的な人々は限界的な部分で考える
 第4原理 人々はさまざまなインセンティブ(誘因)に反応する
 第5原理 交易(取引)はすべての人々をより豊かにする
 第6原理 通常、市場は経済活動を組織する良策である
 第7原理 政府は市場のもたらす成果を改善できることもある
 第8原理 一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している
 第9原理 政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する
 第10原理 社会は、インフレ率と失業率の短期的トレードオフに直面している

 それでは、いつものように私の目についた個所をピックアップしましょう。

第1章 経済学の十大原理
p.19 経済は全体としてどのように動いているか
--- 引用始まり ---
 もう一つ例をあげれば、アメリカの所得が1970年代と1980年代に低成長だったのは、日本をはじめとする外国との競争のせいであると主張する評論家たちがいる。しかし、本当の悪者は海外との競争ではなく、アメリカ国内における生産性の成長率の低下なのである。 
--- 引用終わり ---
 スティグリッツ本でも同じようなことが書いてありましたが、経済学では半導体摩擦とかあったころの原因は、アメリカの生産性の低下や貯蓄率低下のせいみたいです。この論理に従うと、その当時最もらしく聴こえた、国際競争論説などは、ただのイチャモンレベルの言い掛かりになります。この辺でも、キチンと知識を持っていないと、いいように言い包められてしまういい例なのかもしれません。

第2章 経済学者らしく考える
p.42-43 政策アドバイザーとしての経済学者
 ここでは、「実証的な主張」と「規範的な主張」について書かれています。事実を語るだけなら、「実証的な主張」が事実を正確に表すけれども、それがそのまま「規範的な主張」とはならないことを示しています。面白いのは、経済学者が「実証的な主張」をしているときは科学者であり、「規範的な主張」をし始めると政策アドバイザーに変身してしまうところです。TVで出てくる経済学者の人達は、キチンと「実証的な主張」をしたのちに「規範的な主張」をしてくれないので、ただ自分のイデオロギーを述べているだけの変なオッサンにしか見えません。だから、私が経済学者を胡散臭く思う原因かもしれません。

第3章 相互依存と公益(貿易)からの利益
p.82 比較優位の応用例
--- 引用始まり ---
 しかしながら、政治家や政治評論家がしばしば述べる意見に反して、国際貿易は戦争ではない。戦争は勝利する国と敗北する国を生み出すが、国際貿易はすべての国々をより繁栄させるのである。 
--- 引用終わり ---
 胡散臭い意見の理論的反証がここにあることが判ると思います。比較優位の考えが正しいなら、国際貿易では、Win-Winの関係をもたらします。ただし、双方の国が自由貿易の門戸を開くという条件付きです。別のスティグリッツ本では、自国の産業を守る為に補助金でジャブジャブ漬けにしてしまったら、Win-Winにならないと言っているので。

第4章 市場における需要と供給の作用
p.103 ケース・スタディ たばこの需要量を減らす二つの方法
 私はたばこを吸わないので、たばこの値段が上がっても何も問題無いのですが、この本に依ると、たばこの値段が10%あがると、需要量は4%減少するそうです。多分アメリカでの結果でしょうが、日本でも似たような結果になることでしょう。日本では、2010/10にたばこの値段が上がりましたが、これでどの位需要が減ったのでしょうか?国が価格を操作できる数少ない商品なので、研究データを集めるのは、他に比べれば楽なんだろうなあ、と経済学者風に考えてしまいました。

第5章 弾力性とその応用
p.130 需要の弾力性
 価格弾力性の定義式自体は、
  需要の価格弾力性 = (需要量の変化率)/(価格の変化率)
ですが、変化率の計算をする際に、変化分を元の水準で割って計算すると、変化の方向によって価格弾力性が変わってしまうという困った問題が生じます。これを避ける為に、元の水準で割るのではなく、元の水準と後の水準の中間点で割りましょうというのがここでの説明です。確かにその通りだけど、「これって普通の方法?」って思いますが、どうなんでしょうか?

p.148-150 需要、供給、弾力性の三つの応用
 麻薬の禁止が犯罪を増やすか減らすかの説明があります。麻薬を禁止する一番単純な方法は、捜査官を増やして取引量を減らすことです。一見最もらしいですが、この場合麻薬の供給量は減りますが、需要が減るわけではありません。需要が非弾性的であれば、販売量が減っても価格上昇分のお陰で、供給者にとって総収入が増えます。これは供給者にとっては願ったり叶ったりなので、必ずしも悪いことではありません。逆に、お金に困って麻薬常習者が犯罪に走って、犯罪件数が増える可能性があります。ただし、麻薬価格が上がるので、長期的には需要も減る可能性はあります。この状況を改善するひとつの方法として、麻薬教育することを挙げています。この発想は供給を減らすのではなく、需要を減らす方法です。この場合、需要が減って且つ価格も下がるので、供給者にダメージを与えられます。この発想は、別の犯罪取締りにも使えるような気がします。教育レベルを上げれば、いろいろ問題が解決される可能性があるように思えました。

第6章 需要、供給、および政府の政策
p.176-178 ケース・スタディ 議会は給与税の負担を割り振れるか
 税金の負担者が誰かと言う話です。給与税を企業と労働者の折半にしようと試みても、実際の負担者は労働の需要と供給の関係のみで決定されます。従って、法律でどのように税負担を決めても、需要と供給の弾力性のみで決まってしまうので、真の負担者を法律で決めることはできないとあります。だから、法人税を減税すれば、労働者の給料も増える論理になります。一時期法人税減税の議論になったとき、反対していた人達は、企業ばかり優遇するなと主張していましたが、この考え方を使うと、給料が増えることになり、必ずしも企業のみ優遇されるとは限りません。まあ、これも条件付きで、恒久的に法人税が減税されることを皆さんが信じる必要があります。一時的なら、恐らく給与にまで反映されないと思います。

p.180-181 贅沢税を支払うのは誰か
 先ほどと同じような話です。金持ちから税金を取る為に、贅沢品の税率を上げたとします。この場合、徴収する税金が増えることを期待して税率を上げますが、実際には、お金持ちは税率の上がった製品を買うのを止めて別の代替品を買うようになります。贅沢品の需要は、非弾力的のため、このような代替行動がおきます。そのため税金も増えず、需要も減ってしまいます。税率を上げられた産業は、売れなくなってしまうので、税率が上がった分だけ企業が製品を値下げして、需要を取り戻します。早い話が、お金持ちから税金をとるのではなく、実際いは贅沢品を生産している企業に負担がまわることになります。アメリカで実際にそのような税を導入して、失敗したため、廃止されたそうです。お金持ちから税金を取るには、お金持ちが必要とする(弾力的な)製品に課税するしかありませんが、そういう品目は、大抵お金持ち以外にも必要な製品になるので、そう簡単にもいかないと思います。

第7章 消費者、生産者、市場の効率性
p.207-208 ケース・スタディ 臓器市場は存在すべきか
 チョット恐ろしい内容ですが、臓器の売買をすることは、効率的な資源配分になると説明しています。通常、臓器提供は無償ですが、無償であるが為に、供給不足が発生しているとしています。例えば、腎臓は二つもって生まれてきますが、一つあれば十分なので、残りの一つを売買できれば、死なずに済んだ人も沢山おり、且つ売った方も現金を手に入れられるので、双方メリットがあるといっています。臓器売買は、一見犯罪が絡みそうですが、最もらしい値段に落ち着いたら、そのような犯罪自体も減るかもしれません。倫理的に許されるかどうか判りませんが、経済学ではこのような考えも出来るのかと納得しました。

第9章 応用: 国際貿易
p.245-258 貿易による勝者と敗者
 ここでは、仮想国家アイソランドの鉄鋼市場を例にして、自由貿易の影響を考えています。アイソランドが小国家である場合は、鉄鋼の輸入国になろうが、輸出国になろうが全体の厚生は改善されますが、全ての人の厚生が良くなるわけではないです。この辺が損害を被る人達が権力を持っている場合には、ややこしい話になります。全体を考えればいいことだけど、自分が被害を被るのは嫌だというよくある考え方です。この辺をフォローする方法としては、関税や輸入割り当てが考えられますが、これも万能ではなく、そのせいで死荷重が生じて経済効率が低下します。最近話題のTPPも同じような話なんだろうなあと感じました。

第10章 外部性
p.293 外部性に対する公共政策
 公害の話です。
--- 引用始まり ---
 きれいな空気ときれいな水は人間の基本的な権利であり、経済的な面から考えることによって価値を下げられるべきではない。きれいな空気ときれいな水にどのように価格をつけろというのか。環境は非常に重要であり、費用に関係なく最大限に守られるべきだというのが彼らの主張である。 
--- 引用終わり ---
 一見正しそうに思える上述の話も、経済学者はこのような議論に共感しないそうです。経済学の十大原理の第1原理に従うなら、我々は汚染と引き換えに高い生活水準を手に入れているそうです。環境保護も、他の財と同様に需要と供給の関係を働かせれば、環境保護の価格が低ければ、おのずと環境保護が進むらしいです。この考えを進めるなら、技術が進んだ国は環境保護の費用が低いので、その技術を技術進歩が遅れている国に輸出して環境汚染を抑えることが出来るはずです。中国にCO2排出量を減らせというだけではなく、CO2削減のノウハウを売れば、どちらもハッピーになる気がします。

第11章 公共財と共有資源
p.310-312 ケース・スタディ 生命の値段はいくらか
 これまた臓器売買と似た感じのやばそうな話ですが、ここでは交通事故率を下げる為に、信号を設置すべきかせざるべきかの議論をしています。政府といえども無尽蔵に予算があるわけではありません。そのため、全ての交差点に信号機を建てられないことも有り得ます。そこで信号機設置費用と交通事故による死亡で発生する人的被害を比較する必要があります。人の生命の値段を計算する必要が生じるのですが、ある研究では人命の価値は約1000万ドルとされているそうです。どうやって計算したか不明ですが、個人的には少し高いような気もしますし、年齢係数も必要な気もします。値段設定はその測定条件に依存するので話を置いておくと、値段さえ決まれば信号機を建てる建てないの現実的な議論が出来ると思います。何か冷たい感じもしないでもないですが、感情論だけでは政治も進まないと思うので、こんな感じで議論を進めれば最もらしい結果が出ると思います。ここでは信号機の例でしたが、同じことは救命治療や消防なんかでも同じことが言えると思います。そう考えると、そのような施設が人口1人当たりどの位あるかで、その市町村が人の値段をどのようにつけているか判るような気がします。ある程度は法律などの基準があるのでしょうが、そこから大きく剥離しているようだとその町は、ヤバイ町かいい町のどちらかです。

第12章 税制の設計
p.348-349 法人税を支払うのは誰か
 どうも働いているお陰で、税金の記述があると思わず見入ってしまいます。第6章でも同じようなところに目が留まってしまいました。ここで述べていることは、「すべての税を支払うのは人間である」ということです。法人税と言いつつ、実際に支払うのは、法人の所有者/顧客/労働者の誰かです。更に分析を進めると、大部分は労働者と顧客が負担することになります。法人の所有者(株主)は、法人税が上がれば、別の利潤の大きい資産に乗り換えればいいだけのことです。そうすると投資が減り、それに伴い供給が減少し、労働者の需要も減り、賃金が下落します。また供給が減るので、製品価格も上昇し、顧客も税負担をすることになります。得たいの知れない法人税も、実は労働者や顧客が分担しているだけなのです。

第14章 競争市場における企業
p.398-399 利潤最大化と競争企業の供給曲線
 サンクコストの話です。お金を払った後、回収できないコストは無視して考えろって話です。そんなバッサリと払ったお金のことを無視して考えられる人は少ないでしょうが、経済学的な考え方ではそうなります。ここでは、映画のチケットの例を挙げています。映画を見るのに10ドルまでなら支払ってもよいと考えている場合、チケットを7ドルで購入して、例え無くしたとしても、もう一枚買ってみるべきだといっています。合計14ドルだから、買う価値無しとはならずに、無くしたチケットのことは考えるなという発想です。無くしてしまった事を嘆いても仕方ないんです。と言う考えを、躊躇わずに出来たらどんなに楽だろうかと少し思いますが。

p.406 競争市場における供給曲線
 経済学の本を読み始めたとき、完全競争の仮定が変に感じると思います。完全競争が起こっている場合、全ての生産者はプライステイカーで、利潤が0になるまでの量を生産します。何故利潤が0なのに、わざわざ生産するのか?何もしなければいいじゃん!と普通は思います。ここでは、そんな疑問に答えてくれます。実は、利潤はあるのです。利潤0とは、経済学者が費用について考える場合、機会費用も含まれているのです。だから、機会費用の分だけ利益が出ていることになります。私たちが思う会計上の計算とは少し違うのです。経済学者の言う利潤0は、会計上利益が出ている状態です。と納得しようとしましたが、それだったら、機会費用が得られるほうの事業をしても、結果は一緒じゃないのと考えてしまいました。もし、機会費用が銀行の利息分なら、事業のお金を銀行に預けたほうがいいんじゃないの?空いた時間を別のことに使えば、一石二鳥だし。微妙に判ったような、判らないような感じです。

第15章 独占
p.448-449 価格差別
 独占企業が利潤を最大にするために、同じ商品に対して異なる価格をつけます。消費者に対し完全な価格差別を行えば、独占企業は利潤を最大化できます。支払い能力が高い人には高く売り、支払い能力の低い人には限界費用ギリギリで売る方法です。現実には、独占企業だけではなく、多くの企業で価格差別は行われています。本の中ではいくつか例を挙げていますが、割引クーポンの例が、なるほどと思えました。お金の無い人は、クーポンを切り取って利用しようとしますが、お金を持っている人はクーポンを切り抜く時間が惜しい(機会費用が高い)ので、定価のまま買うそうです。そう言えば、学生のころはファーストフード店でクーポン券が使えるか気にしていましたが、いまではそんなに気にすることも少なくなりました。正確には、あんまり行かなくなりましたけど。

第16章 寡占
p.469 少数の売り手しかいない市場
 寡占の話です。例えば、国際貿易で自動車の貿易を禁止して、外国メーカーを締め出してしまうと、自動車市場では寡占化が進み、価格競争が弱まります。早い話が、メーカーの数が減ると、競争が行われなくなるので、その製品が値上がりします。企業側から見れば利益が増えてラッキーなのでしょうが、消費者側から見ると不利益を被ります。去年、アメリカでトヨタ車のリコール騒動がありましたが、あれで得したのは恐らくアメリカの自動車メーカーでしょう。イチャモンつけてヨソ者を追い出せば、自分が儲かる論法で寡占化が進まないことを望みます。

第19章 勤労所得と差別
p.559 ケース・スタディ ハンサムや美人であることの便益
 美男・美女であることは、徳をするのか?という疑問を経済学的に分析しています。アメリカでの分析結果になりますが、容姿がよい人は、平均的な容姿の人よりも5%多く稼いでいるそうです。また、平均的な容姿の人は、容姿のわるい人より、5~10%多く稼いでいるそうです。その理由付けですが、3つ挙げています。
 1.生まれつきの能力
 2.能力の間接的な指標
 3.一種の差別
「人を見かけで判断するな」いう諺は、大抵の人は「人を見かけで判断する」意味だと思っていたので、この統計結果のおかげで間違っていないと確信しました。まあ、自分の体を誰かと取り替えることは無理なので、服装や立ち振る舞いを気をつけることで美男・美女のように思われるような努力はしても損はしないと思います。

p.563-564 均衡賃金に関するいくつかの決定要因
 賃金は普通労働の需要と供給の関係で決定しますが、そこから外れる原因を説明しています。3つほど挙げており、その3つは、
 1.最低賃金法
 2.労働組合
 3.効率賃金理論
です。この中で目に付くのは、2の労働組合です。研究によると労働組合がある労働者は、組合のない労働者よりも、10~20%収入が多いそうです。労働者側にとっては、ある意味いい情報です。組合を作れば、賃金が上がる可能性があるんだから。仕事を探しているとき、同じ仕事内容でも、労働組合がある会社を選ぶ方が徳ということになります。

第20章 所得不平等と貧困
p.590-591 不平等の尺度 
 金持ちになった人達は、どういう人達かが書かれています。約8割は一代で財を築いた世帯で、相続で億万長者になっ割合は約2割です。この結果だけ見ると、生まれた瞬間に金持ち確定or貧乏確定とはならないことになります。頑張れば、人生逆転する可能性はあるはずです。8割が一代で財をなしているなら、そのまま相続すれば8割が相続で金持ちになるはずですが、そうはならないみたいなので、金持ちから貧乏に落ちていくパターンもかなりあると思います。

第22章 ミクロ経済学のフロンティア
p.658-659 ケース・スタディ シグナルとしての贈り物
 ガールフレンドに、プレゼントに現金を渡すと怒られる理由が書いてあります。プレゼントを的確に選んで渡すことは、相手のことをどれだけ理解しているかのシグナルになるんだそうです。逆に、お金を貰って喜ぶ女性は、自分のことを愛しているわけでは無いと思います。不思議なのは、これが家族になると、もうそのようなシグナルは必要なくなるので、現金で渡しても何も問題なくなります。まあ教訓としては、何でも金で解決しようとしないことです。

 辞典みたいな本なので、目に付いた個所をひとつひとつ拾っていくとトンでもない量になってしまいました(本当はもっとありますけど)。読み物としていろいろ教訓になりそうなことが書いてあるので、経済学の勉強という意味以外でも得られるものも多いと思いました。ただ、これだけで経済学の研究が全て理解できるかというと無理だと思うので、最初の第一歩用として使うべきだと感じました。この本を読む上で敢えてアドバイスするなら、強い信念を持って心折れずに読み通すことです。
posted by tfje at 15:40| 京都 ☁| 読書感想文(経済) | 更新情報をチェックする
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