2011年03月21日

[読書]Partial Differential Equations for Scientists and Engineers

 Partial Differential Equations for Scientists and Engineers by Stanley J. Farlow.
 難易度:上級
 オススメ度:★★★★★
[英語版]

Partial Differential Equations for Scientists and Engineers (Dover Books on Advanced Mathematics)

Partial Differential Equations for Scientists and Engineers (Dover Books on Advanced Mathematics)

  • 作者: Stanley J. Farlow
  • 出版社/メーカー: Dover Publications
  • 発売日: 1993/09/01
  • メディア: ペーパーバック



[日本語版]

偏微分方程式―科学者・技術者のための使い方と解き方

偏微分方程式―科学者・技術者のための使い方と解き方

  • 作者: スタンリー ファーロウ
  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 単行本



 そう言えば、「偏微分方程式って、系統立って勉強したことないなあ?」と思い、偏微分方程式の本を探してみました。調べてみたのですが、偏微分方程式だけを扱った本は、それ程多くないことが判りました。大体は、常微分方程式と偏微分方程式がセットになった感じで、解法もそれほど多くは紹介されていません。確かに、厳密解が見つけられるものは、それ程多くないので、当然と言えば当然な気もします。その中で、唯一偏微分方程式の解法の全体を網羅しているものが、この本でした。ただし、数学的厳密性に力を入れている訳ではなくて、科学技術分野での応用面(主に物理分野)に力を入れて書かれた本になっています。理論解説はそこそこに、偏微分方程式の計算が出来るようになります。

 この本の中では、沢山の解法が解説されていますが、そのひとつひとつが纏まっているので、辞書的な使い方をしても十分使い勝手がいいと思います。ひとつのトピックが、5~10ページ程度のLesson毎に区切られており、ひとつのLessonも、目的→解説→要約→演習問題といった書き方に統一されているので、ダラダラ最後まで読まないと何も出来ないといった風にはなりません。演習問題も、そのLesson内の技術で全て解答できるレベルになっており、単純に解けると面白いです。ただ、解答は略解しか載っていないので、全部の詳細な解答が載っていないとヤダっていう困った君には向いていないです。まあ、そんなの載って無くても、数値計算が必要な問題以外は殆ど解けます。私の場合は、チマチマ演習問題も解いて読み進めたので、読み終えるのに半年近くかかりました。

 章構成は、大きく5つから成ります。各章は、更に5~10個程度のLessonに分かれます。
 1. Introduction(Lesson1)
 2. Diffusion-Type Problems(Lesson2-15)
 3. Hyperbolic-Type Problems(Lesson16-30)
 4. Elliptic-Type Problems(Lesson31-36)
 5. Numerical and Approximate Methods(Lesson37-47)
大体計算をすると判りますが、総ページ数(洋書版)は、400ページ近くになります。普通の偏微分方程式の本なら、最初に2階偏微分方程式の分類方法(放物線型、双曲線型、楕円型)の説明があると思いますが、この本は、Lesson23までそのような記述はありません。何故そのような構成になっていないのかの説明があって、大部分学生はそのような構成に興味を引かないだろう、つまり読者の興味が出る順番に章構成をしたとあります。そのお陰で、私はその術中にはまりました。分類ついでに書いておくと、熱方程式(Ut=Uxx)は放物線型、波動方程式(Utt=Uxx)は双曲線型、ラプラス方程式(Uxx+Uyy=0)は楕円型となります。

 解法は沢山載っているので、いちいちここで書くことは出来ませんが、私がよく判らずに使っていた変数分離が適用できる条件の記述があったのが新鮮でした。詳細はLesson5にありますが、その条件とは、
 1.偏微分方程式が、線形で且つ同次であること
 2.境界条件が、線形同次であること
    αUx(0,t)+βU(0,t)=0
    γUx(1,t)+δU(1,t)=0
です。1の条件は知っていましたが、2の境界条件まで制約があったのは、この本で初めてしりました。よくそんな事知らないで、変数分離とか使っていたものだと思ってしまいました。こんな感じの軽いショックを受ける解説が、他にも沢山ありました。私の中で霞んでいた視界が、パッと明るくなった感覚になりました。人に依ってどう感じるかは判りませんが、よく判らないけど、物理の教科書に載っている方法で解いたら解けたっていうのが、どういう論法でその手法を利用したがが判るようになると思います。

 一般論ですが、普通は専門分野になればなるほど、教科書の内容が難解になりますが、この本は珍しく難しい内容を、読者が理解できるレベルまで落として且つ実際に有用な内容のみ絞ったものになっています。とてもこの本が、何十年も前に出版された本とは思えません。むしろキチンとした教科書は、何年経っても役に立つことの証明になっているような本です。個人的に読んでいて、とても面白かったので、偏微分方程式の解き方が判らないと思っている人に読んでほしい本です。


posted by tfje at 15:04| 京都 ☁| 読書感想文(算数) | 更新情報をチェックする
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