2009年09月09日

Noise Source in Bulk CMOS

 Noise Source in Bulk CMOS by Kent H. Lundberg
 [本文] CMOSnoise.pdf

 あんまり得意じゃないノイズの話です。

 LSI回路設計屋さんは、大きく2つに分類されていて、デジタル屋さんとアナログ屋さんに分かれます。デジタル屋さんとアナログ屋さんでは、ノイズの気にしかたが全然違います。デジタル屋さんは、外部から入ってくる電源ノイズや、ゲートスイッチングで生じるIRドロップとかは気にしますが、GHzオーダの高周波回路をやっている人以外は、それ以上気にすることは少ないです。対するアナログ屋さんは、いかにノイズ耐性を上げるかとか、逆に、自分がノイズ源にならないようにするかを異常に気にします。そもそも、設計思想が異なるので、話が噛み合わないこともあります。

 ノイズって言っても、大別して2種類あって、外部から入ってくるノイズと回路素子自身から発生するノイズがあります。外から入ってくるノイズは、何がどんな経路で入ってくるか判らないので、電源・GNDプレーンで信号線や素子をシールドするとか、回路を差動化するとかで対策します。が、それがどの程度効果がある(又はあった)かは、誰にもわかりません。せいぜい出来ても、それっぽいノイズ源を作って、シミュレーションして確認する位です。早い話が、外から入ってくるものは、つまり部外者がいつどこから入ってくるかなんて、正確には判らないんです。防犯ブザーやカメラをつける位しかないです。いや、治安の悪い地域には、住まないのが正解です。

 よそ者がいつどこから入ってくるのは判らないですが、自分の家の中なら、ある程度予測可能です。CMOSデバイスの内部ノイズは、また何種類かに分類されていて、熱雑音、フリッカー(1/f)雑音、ショット雑音、G/R(Generation/Recombination)雑音、ポップコーン雑音があります。聞きなれないノイズもありますが、この内支配的なのは、熱雑音と1/f雑音です。

 この解説書を読んでいると判りますが、1/f雑音の起源は、3つ説があります。どの説も「オレが正しい」と言い張っているところが面白いです。1つ目の説(Number Fluctuations)は、1/f雑音は表面効果のせいだと言ってます。MOSを例に挙げると、キャリアが酸化膜の界面に捕獲や放出されるためです。この説はこの説で、実験結果と合うと主張しています。2つ目の説(Mobility Fluctuations)は、1/f雑音は表面効果なんかでは無く、キャリアの移動度が変化するためだと言ってます。移動度が変化する理由は、格子散乱のせいだと主張しています。この説も実験結果と合うと言ってます。3つ目の説(Combined Model)は、上の2つの実験結果がそれぞれ一致するのは、たまたまその実験でそれぞれが支配的だったから為で、本来両方が利いているんだと言ってます。面白いのは、SPICEシミュレーションでは、発生原因はよーわからんけど、1/fノイズは存在するんだから、簡易式で組み込んでしまえってやってるところです。

 熱雑音は、それほど激しい議論は無くて、キャリアのランダムなブラウン運動のせいで発生するといってます。ブラウン運動だから、温度に比例するはずで、だから熱雑音となるらしいです。

 他の3つの雑音は、MOSデバイスでは、あんまり影響は無いみたいです。ショット雑音は、ジャンクションを通過する電子速度がランダムだから発生すると言ってます。G/R雑音は、1/f雑音と似た感じで、キャリアのバルク内の捕獲・放出のせいだと言ってます。ポップコーン雑音は、急峻なチャネル電流変化により、キャリアが捕獲・放出されるせいだと言ってます。

 デバイスから発生する雑音は沢山ありますが、デバイス形状や回路構成である程度低減でき、且つシミュレーションでも結果が出るので、乱暴ものの外部ノイズに比べれば、大分マシです。その前に、ノイズが気になるくらいまで、性能出さないと駄目なんで、そっちの方が大変です。



posted by tfje at 20:37| 京都 ☀| メモ書き | 更新情報をチェックする
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